好きなものを仕事に"しない"という幸福。
好きなものを仕事にするということ、それは一見すると幸福なことのように思えます。
......いや、もちろんそれ自体はとても幸福なことなのでしょう。
しかし、「深町秋生のベテラン日記」で作家の深町さんは次のようにも述べています。
しかし好きなものを職業にするというのは、「自分がもっとも好きなものを、もう純粋に楽しめなくなる」「自分がもっとも愛したものを、もっとも憎悪するようになる」という悲劇やリスクがつきまうことでもある。ピュアな心を失うというか。
(中略)
好きなものを職業にできる、というのは誰もがその機会に恵まれるわけでもないので、それはそれでたいへんな幸福といえる。しかし、「もっとも好きなものは職業にしないでおく」という幸福も確実に存在する。
(中略)
さして思い入れもないものを職業にして、自分が好きなものは、けっして職業にしない。そうすると、好きなものをいつまでも純粋に好きでいられるし、愛や楽しさだって持続するだろう。筆をいっそのこと折ってしまえば、また小説とはピュアな関係に戻れるのかもしれないが、もうしばらくは執筆活動を続けたいので、小説を愛しつつ、憎悪する毎日がこの先も続きそうではある。
趣味のまま続けることと、それを仕事にすることには、たしかに大きな違いがあります。
僕自身も書くことが好きでそれを職業にしていることに後悔はありませんが、一方で深町さんが述べられていることもよくわかるのです。
好きなものを仕事にする幸福と、しない幸福。
どっちがいいなんて単純に決められる話ではありませんが、就活をしている学生ならぜひ一度は考えてみるべき問いではないかと思います。
[職業にして失うということ - 深町秋生のベテラン日記]


















